田中美咲です。専業主婦をしながら、胡蝶蘭を10年ほど育てています。
お祝いやギフトでいただいた鉢の最後の花が落ちて、「これで終わりかな」「切っていいのかな」と手が止まっている方へ。
私も最初の鉢では、何もせず置きっぱなしにして、株を弱らせてしまった一人です。
その反省をもとに、花茎の切り方と、次の花が咲くまでの1年の過ごし方をまとめました。
先に結論を書くと、切り方は2通りあって、選ぶ基準は株の元気さです。
花が散った胡蝶蘭は、捨てる前に確かめたいことがあります
花が落ちた株は、終わったのではなく疲れている
夫の実家からいただいた最初の鉢の花が全部散ったとき、私は正直、寿命だと思って玄関に置きっぱなしにしていました。
1か月ほどして緑色だった花茎の先が茶色く枯れ込んできて、ようやく慌てて調べたのを覚えています。
胡蝶蘭は、育て続ければ何年も花をつける植物です。
ただ、大きな花を何輪も咲かせたあとの株は、体力をほとんど使い切っています。
花後は捨てるかどうかを考える時期ではなく、株を休ませるか、もう一度咲かせるかを決める時期です。
切る前に、株の元気さを4か所で見る
どちらの切り方にするかは、株の状態で決まります。
私は花が落ちたら、次の表の4か所を見るようにしています。
| 見る場所 | 元気なとき | 弱っているとき |
|---|---|---|
| 葉 | 厚みがあり、ツヤのある緑色 | しわが寄る、黄色い、垂れている |
| 葉の枚数 | 3枚以上ついている | 2枚以下 |
| 根 | 白から薄緑でしっかりしている | 黒ずむ、触るとぶよぶよする |
| 花茎 | 緑色でツヤがある | 先から茶色く枯れ込んでいる |
葉の枚数は、AND PLANTSの花芽を出す方法の解説に、花を咲かせるには元気な葉が最低3枚必要だと書かれています。
当たり前のようで、鉢を持ち上げて数えたことがない方も多いと思います。私もそうでした。
弱っている項目が多いときは、二番花は狙わないほうが安全です。
NHK出版のみんなの趣味の園芸でも、葉が少なく弱った株は付け根から花茎を切って養生させるとされています。
花茎の切り方は2通り。私は最初、ここで迷いました
根元から切って、株を休ませる方法
いちばん失敗が少ないのは、花茎を付け根近くで切り落とす方法です。
花に回していた栄養が葉と根の回復に回るので、来年の花に向けて体力を貯めやすくなります。
宮川洋蘭の花茎の切り方ガイドも、病原菌や腐敗のリスクを減らせる点と、養分を回復に回しやすい点を、根元切りの利点に挙げています。
手順は次のとおりです。
- 花がすべて落ちるか、しぼんで枯れてくるまで待つ
- ハサミをアルコールで拭くか、火であぶって消毒する
- 花茎の付け根近くを、水平に一気に切る
- 切り口が乾くまで、切り口に水をかけない
同じ宮川洋蘭のガイドでは、切り口は感染の入口になりやすいので、乾燥させてから消毒するのが基本だとされています。
私は切り口が乾いたあと、園芸用の殺菌剤を少しだけつけています。
節を残して切り、二番花を狙う方法
花茎には、ところどころに小さな節があります。
株が大きくて元気なら、この節を残して切ると、残した節から新しい花芽が伸びてくることがあります。
残す節の数は、情報源によって少しずつ違います。
- NHK出版とJAあいち知多は、下から2〜3節を残す
- 宮川洋蘭は、下から4節目の少し上を目安にする
どの資料も、節のすぐ上で切る点は共通しています。
私は迷ったら、下から3節目のすぐ上で切っています。
JAあいち知多のコチョウランの栽培解説では、節を残すと2〜3か月後にもう一度花を楽しめるとされています。
ただし宮川洋蘭は、無理に二度咲きを狙うより株の回復を優先したほうが、長い目で見ると結果がよいとも書いています。
花がもう一度見られるぶん、株にはその分の負担がかかるということです。
私の選び方と、二番花で失敗した話
迷ったときの基準を、表にまとめました。
| 株の状態 | 選ぶ方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 葉が多く、根も白くてしっかりしている | 節を残す(二番花を狙う) | 体力に余裕がある |
| 葉が3〜4枚で、少し疲れて見える | 根元から切る | 回復を優先したい |
| 葉がしわしわ、根が黒い | 根元から切る | まず株を立て直す |
| 冬に花が終わった | 根元から切る | 寒い時期は回復が遅く、負担が大きい |
宮川洋蘭のガイドにも、冬は株の回復を優先して、根元寄りで切るのが無難だと書かれています。
実は私も、2年目に欲張って二番花を狙ったことがあります。
小ぶりな花が数輪ついただけで、しかもその年の秋には、新しい花芽が上がってきませんでした。
関係があるかは断言できませんが、株が疲れていたのだろうと、今は思っています。
切ったあと秋までは、株を太らせる期間です
置き場所と水やりは、いつも通りで大丈夫
花茎を切ったあとの株には、特別なことはしません。
レースのカーテン越しの明るい場所に置いて、植え込み材の表面が乾いたら水をたっぷりあげます。
NHK出版の解説では、胡蝶蘭は18℃以上の暖かさを好み、夏は40〜50%の遮光ネットの下で育てるとされています。
家の中では、窓辺のレースカーテンがその代わりです。
夏に気をつけたいのは暑さで、AND PLANTSの解説では、33℃以上が続くと株が弱るとされています。
真夏の閉め切った部屋は、想像以上に暑くなります。
肥料と植え替えは、春から初夏のうちに
肥料は、JAあいち知多の解説によると、4〜9月に規定の2倍に薄めた液体肥料を月2回ほどあげます。
濃いものを少量ではなく、薄いものをこまめに、という考え方です。
植え替えの適期は、5〜7月です。
JAあいち知多は最低気温が15℃以上になる5〜7月、NHK出版は5月上旬から6月下旬が一番の適期としています。
花が春に終わったなら、根元切りのあとにそのまま植え替えまで進めるのが、いちばん自然な流れです。
手順は、以前の記事「胡蝶蘭の植え替えって怖くない!初心者主婦が実践した簡単ステップ解説」に詳しく書きました。
冬に花が終わった鉢は、寒い時期の植え替えを避けて、春まで待ってください。
来年また咲かせるための、秋の温度管理
花芽のスイッチを入れるのは、涼しい夜
切ったあとの1年でいちばん大事なのが、この秋の過ごし方です。
AND PLANTSの解説では、花芽ができるには、1日8時間以上、18℃以下の環境が必要だとされています。
その期間は、大輪で約40日、中輪で約20日です。
反対に、25℃前後の暖かさが続くと、花芽はつくられません。
花芽ができるのは11〜12月ごろで、そこから伸びた花が開くのは3〜5月ごろです。
つまり、花が終わってから次の花が咲くまでの流れは、次のようになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 花が終わった直後 | 花茎を切る(根元切りか、節残し) |
| 5〜7月 | 植え替え、薄い液体肥料 |
| 7〜9月 | 暑さを避けて、株を太らせる |
| 10〜12月 | 夜に18℃以下になる場所で花芽を待つ |
| 3〜5月 | 開花 |
暖房のきいたリビングで、咲かなかった年
私は3年目の冬、居間の暖房を夜もつけっぱなしにして、胡蝶蘭を暖かいテレビ台の横に置いていました。
「寒いとかわいそう」と思ったからです。
その年は葉だけが元気で、花芽はとうとう上がってきませんでした。
翌年から、10月に入ったら夜間は暖房のない部屋に移すようにしました。
寒すぎるのも困るので、JAあいち知多が示す最低10℃は下回らないよう、窓から少し離した棚の上に置いています。
すると、11月の終わりに、株元の近くから小さな花芽が顔を出しました。
あのときの嬉しさは、今でもはっきり覚えています。
花芽が上がってこないときに見直すこと
10〜12月を過ぎても花芽が見えないときは、次の3つを疑ってみてください。
- 夜も暖かい部屋に置いていないか(花芽が出る条件を満たしていない)
- 根腐れが起きていないか(鉢の中の状態が悪いと、花芽は上がってこない)
- 二番花を咲かせて、体力が戻りきっていないのではないか
AND PLANTSの解説でも、花芽が出ない原因として、株の体力不足、根腐れ、温度管理が合っていないことを挙げています。
根や水やりから見直したいときは、以前の記事「胡蝶蘭の花が咲かない時のチェックリスト」も参考にしてください。
まとめ
花が散った胡蝶蘭は、終わったのではなく、次の花に向けて休んでいる状態です。
株が元気なら節を残して二番花を、少しでも疲れて見えたら根元から切って休ませる、というのが私の基準です。
切ったあとは、春から夏にかけて植え替えと薄い肥料で株を太らせて、秋には夜だけでも涼しい場所に移してあげてください。
花芽は11〜12月ごろに出て、春に開きます。
最初の鉢を玄関に置きっぱなしにしていたころの私に、伝えたいことがあります。
花が散ったあとの1年を一緒に過ごすと、その鉢は、来年もう一度ちゃんと咲いてくれますよ。
